こんにちわ! 才谷(@Saitani_UK)です。
今回の記事では、世の中についてあまり知られていない開発コンサルタント業界について紹介します。
はじめに
日本で「国際支援」、「途上国支援」というとまず思い浮かぶのはJICA(Japan International Cooperation Agency:独立行政法人 国際協力機構)ではないでしょうか。
今回は、途上国支援に関わりたい方向けに、JICA職員になる以外の関わり方として開発コンサルタントを紹介したいと思います。
私は、開発コンサルタントとして5年程度の実務経験を積んでから留学をしており、私の個人的な経験を基に記載しますのであらかじめご了承ください。
ちなみに、開発コンサルタントとしての経験は、国際機関でも評価してもらえますので、国際公務員を目指している人にとっても良い選択肢の1つだと思います。
開発コンサルタントとは?
開発コンサルタントとは、主に途上国にて技術的なサポートをするエンジニアです。(専門家と呼んだりもします。)
途上国ということで、インフラの整備が進んでいない、「土木」や「建築」といった建設分野での技術的サポートが多いことから、開発コンサルタントになる多くの方は建設分野でのアカデミックバックグラウンドを持っている人がほとんどになります。
一方で、建設分野の開発コンサルタントと比較すると規模(人の数)は小さいですが、教育分野、ジェンダー、法律、医療系分野でも活躍されている方もいらっしゃいます。
もっと開発コンサルタントについて知りたい方や、今勉強している分野で、どんな開発コンサルタント会社があるのかご興味のある方は一度、下記の「一般社団法人 海外コンサルタンツ協会」のHPから調べてみると良いと思います。
開発コンサルタントのクライアント、仕事の仕組み
日本の開発コンサルタント会社の多くは、業務をJICAから受注することがほとんどです。
その他では、日本の官公庁や商社等からも仕事を受注することがあります。
JICA職員の方が、各途上国で必要なインフラや開発を相手国政府と相談し、具体的なプロジェクトを作り上げていきます(案件形成と言います)。
JICAはそのプロジェクト内容を公表し、開発コンサルタント各社がプロポーザルを書いて競い合い、最も高く評価されたプロポーザルを提出したチームがプロジェクトを受注します。
※プロポーザルでは、各社が受注した場合にどのような計画、方法で、プロジェクトの目的を達成するのかを記載します。関連した分野で実績があるとプロポーザルが評価されます。
ちなみに、チームと敢えて表現したのは、よく会社を跨いでチームを編成したりすることがあるからです。
例えば、プロジェクト内容の中にA~F分野のエンジニアが必要だと記載があった時に、P社ではA~D分野のエンジニアは確保できるが、E、F分野のエンジニアがいない時などに、Q社からEのエンジニア、R社からFのエンジニアをチームに加えたりします。
そのような訳で、一度他社のエンジニアと仕事をして、評判が良かった場合、プロポーザル作成の時に他社の人からプロジェクトへの参加打診がきたり、所属している会社が受注したプロジェクト以外でも関わる機会があります。
仕事内容
仕事の仕組みで触れたように、仕事内容は各専門家ごとに異なります。
共通しているのは、割り当てられた専門分野を期限内に他の専門家と連携して終わらせることです。
最終的な成果としては、相手国の関係者へのプレゼン、報告書(JICAと相手国政府用)はどんな業務でも求められ、成果物内での一貫性が必要です。
プロジェクトの進行具合によって、必要となる技術サービスが変わる(プロジェクト初期はA、B分野が中心→2、3か月後はC、D分野が中心になる等)ので、他分野の専門家との連携して、齟齬が生じないようにする必要があります。
若手の場合は、専門家として海外業務に関わるのは実績や経験的に難しいので、少し働き方は異なります。
開発コンサルタントの多くは、「ロジ」と言われる縁の下の力持ち的な業務をやることが多いです。
例えば、相手国政府の関係主体との会議日程の調整、ホテルや航空券の手配、議事録の作成、通訳等。。。
そうした業務をやりながら、専門家の監督の元、技術を学ぶこともありますが、「ロジ」しかやれない若手もいます。
そんな訳で、開発コンサルタント会社によっては、国内の業務を数年間経験させてから海外業務をやらせるような会社もあります。
私個人は、ロジもやったことがありますが、海外案件を2~3件やってから比較的早く専門家として海外業務に関わることができました。
私は、学生の時から開発コンサルタントになろうと思っていたので、自分の専門分野のパートは一人でもできる能力を付けようと、意識的に技術力の習得には力を入れてきたので、専門家の元で学ぶのもありだと思いますが、自力で学んでいくことの方が専門家になるには近道だと思います。
※確固たる専門分野が無いと、ロジばかりやらされたり、幅広い分野のさわりだけしかできないこともあります。
もちろん、専門分野を確立しても、毎プロジェクト、いろいろな条件が変わるので、毎プロジェクト新しい技術的な挑戦があったり、発見があるので技術的には専門家になっても学ぶことは多々あります。
懐事情
開発コンサルタントは、国内の建設コンサルタントと比較すると、お給料は良いと思います。
毎月の給料とボーナスは開発コンサルタントと建設コンサルタントで大差はありません。
しかし、開発コンサルタントの場合、海外出張に行くと毎月の給料にプラスで、出張手当がもらえます。
出張手当の額は、会社により若干異なったりもしますが、基本的に海外出張中に生じた経費(ホテル代、食事代等)は、出張手当で賄えます。
海外出張が多ければ多いほど、貯金ができます。
出張の頻度は人によって異なりますが、私が知る限りですが、一年の1/3~2/3くらい海外に出張、滞在している開発コンサルタントが多い気がします。
そんな訳で、新卒の中には、数年以内にお金を貯めて、留学を目指す人が多かったりします。
最後に
「国際支援をする縁の下の力持ち」、と言われたりもする開発コンサルタントですので、開発コンサルタントの存在を知らない人がほとんどです。
ですが、国際経験を積みながら留学資金を貯められたり、国際支援をしながら技術的な成長が期待できたりと魅力的な仕事なのでは、と個人的には思っています。
特に、国際機関の応募に必要な実務経験を得るという点でもいいのかなと思います。
私が思う唯一のデメリットは、晩婚化の昨今の社会の中でも、開発コンサルタントの人はより晩婚傾向にあることくらいでしょうか。(日本にあまりいないことが要因だと言われています)
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