こんにちわ!Saitani(@Saitani_UK)です。
今回は、「やりがい搾取」と言われる国際支援業界ですが、私が実際に経験したやりがいの一部を紹介したいと思います。
はじめに
今回、国際支援業界のやりがいを伝えていこうと意気込んでいたのですが、考えてみたところ私が関わった業務で具体的に目の見える形で完成した業務というのがまだないことに気付きました。。。
本当は途上国ならではの課題を発見して、それに対する解決策を提案したものが形になっていくところも紹介したかったのですが、それはいつかに取っておこうと思います。
なので、今回の記事では一般的に知識を提供する場として認識されている「研修」を通じて、それ以外にも波及的効果があり、そういった部分に感じたやりがいを紹介します。
逆境からの大逆転
先日、入社数か月の私ですが、とある発表会にJICAを代表してコメンテーターを務めてきました。。。
※導入が強過ぎて恐縮です(笑)
元々は、私の課長と上司が両方出席する予定だったのですが、あろうことかまさかのお二方とも急な予定が入ったとのことでこんな状況が生まれてしまいました。
先日も、とある別の会議に超ショートノーティスで招集をかけられ、上司の都合が合わず「仕方ない、才谷さんだけで出席してください!笑」という事件が発生し、相手国の市長?(それさえも危ういくらい事前情報もありませんでした笑)→日本のとある省庁の参事官→才谷(え?)という順番で謎の挨拶をしてきました(笑)。そんなことが2回あり、私の上司も「(才谷ならなんとかやるんじゃないか)」という過信があっての今回だったのかもしれません(笑)。
発表会の内容としては、とある研修に参加したいろいろな海外から来た研修員の方々10人以上が研修を通じて学んだことを、自国にどのように活かす(通称、アクションプランと呼ばれます)のかを発表し、その発表内容に対してコメントをしていくものでした。
私は、変にJICA寄りのコメントをするより、私の知識や経験を使って彼らのアクションプランのインパクトを高められる、あるいは政策と解決策の一貫性を意識したコメントをすることを意識して発表会に臨みました。
立場的に言えば、私はアクションプランに対してJICAがどんな支援が提供できるのかをもっとコメントをするべきだったのだと思います(ここで言うJICA寄りのコメント)が、アクションプランで提示されている解決策が各者似通っていたので、今回は上記の観点でのコメントで結果的に良かったと思っています。
幸いにも、全ての発表者に対してコメントをする必要がなかったのですが、なるべくQ&Aセッションで沈黙の時間が流れないよう発表者に対して上記の観点でコメントしました。
発表の合間の休憩時間では、「(あーー-あの若造何言ってるんだ?と思われていないだろうか。。。)」と若干の不安を抱えていました。
すると、発表者の3/4が終わった辺りに、かなり前の発表者で、私がコメントできなかった1人の研修生(その国のPolicy makingができる地位にある方)が私の席に来て「あなたが私の発表を聞いてくれたのかはわからない。でも、コメントがあれば今もらえないだろうか。」と相談に来ました。
私は、全員の発表に対してメモを取っていたので、メモを確認しながら彼の発表に対するコメントを伝えました。
これで終わるのかと思っていたのですが、その方はさらに「私はさっきアクションプランを発表したけど、どこから始めればよいのかアドバイスが欲しい。」と相談されました。私はその回答にも私の専門分野での知識等を活用しながら私なりの考えを伝えました。
休憩時間が終わりに近づいてきたところで、「有益なアドバイスをありがとう。また相談させて欲しい。」と名刺を交換しました。
情熱のあるPolicy Makerとのダイレクトコミュニケーション
上記を例に、私が感じているやりがいを紹介していきます。
1点目は、途上国のPolicy Makingに関わっている人で、自分たちの国を変えたいという気持ちは持ってはいるけど、何から始めたら良いのかわからないという実態があるということを身を持って感じることができた点です。
研修という場所だからこそ、途上国の課題を同じ目線で共有し、それに対する解決策も話合っていくというプロセスが経験できたと思います。
私にとってはこのような機会は初めてで、困った時に頼ってもらえる存在になれるというのはやりがいを強く感じる部分でした。
途上国政府では、政府関係者が富を独占してしまうようなケースも良く耳にするのですが、「自分の国をもっと豊かにしたい」と思っているPolicy Maker(s)も沢山おり、そういう人たちと直接話ができ、頼ってもらえるというのは国際支援業界のやりがいの1つだと思います。
専門性を活用した信頼関係の構築
2点目は、この発表会には私以外にもコンサル等も出席していた中で、その方が私の席だけに来たという点です。
その方は、私が他の発表者に対してコメントした内容を聞いて、私のコメントを有益だと認識してもらえたのかなと思っています。
実は、私はこの研修に講師としても参加したり、いくつかの研修にも同行していたのですが、その方とは喋ったことがほぼなく、少し距離を感じていました。
ですが、最後の最後にこれまで培ってきた専門性がカウンターパートとの信頼構築に繋がったことはとても嬉しいでき事で、今後も技術研鑽をしていくモチベーションにもなりました。
ちなみに、上記は、コンサルという立場でも可能ではあるのですが、相手国政府のPolicy Makingができるようなカウンターパートとの会話というのはコンサルの場合はPMが行うことが多いかと思います。
またPMで通訳なくカウンターパートと会話できる人というのは意外と少ないため、日本側のコンサルチームとカウンターパートとの対話が基本通訳を介して行われることも多く、信頼関係の構築には限界があると個人的に思います。
通訳を介す場合、単純に日本語での説明→翻訳となるので2倍の時間が必要です。そうなってくると会話の密度も下がりますし、通訳を介さないと会話できないとなると、一緒に気楽に食事を取るというのもハードルが高くなるのかなと思います。そういった意味で信頼関係の構築には限界があると思っています。
また、英語が堪能でかつ十分な専門分野を持っており、特定の分野で専門家としてアサインされたとしても、1担当程度ではカウンターパートと会話できる機会はほとんどないと思いますので、そういった点でも私くらいの年齢で相手国政府のカウンターパートと専門分野を軸に信頼関係構築できる機会があるのはJICAのやりがいの1つなのではないかと思います。
質問に来られた方の相談内容というのは、今後JICA業務として支援できる可能性を秘めていると個人的には思っています。現在も連絡を取っており、「君の専門的なアドバイスが必要になった時はまた相談させて欲しい」的な連絡を受けています。「(私の仕事ってこういうの含んでいるんだっけ。。。?)」と思いながらも、誰かのために頑張る人を応援するというのは気持ちのいいことなので、今後もサポートできればなと思っているところです。
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